それだけで、山南はすぐに察知し

それだけで、山南はすぐに察知し、苦々しい顔をする。そう、御達示とは………芹沢一派の暗殺。そして粛清は始まった。新見錦…目立たぬ男だったが、れっきとした局長である。芹沢にひっつき、芹沢の威を借りて小さな悪事を繰り返す小心者。局長とは名ばかりで、芹沢の機嫌を取ってはその恩恵に預かっていた彼は、ここ数日の芹沢に何か違和感を感じていた。行きつけの揚屋で、新見は酒に酔いながら、芹沢の変化で生じた憂さを晴らす。したたかに酔った頃、藥性子宮環有無副作用 やってきた。「こんばんは、新見局長」「ん?おぉ、沖田ではないか!珍しいな、お主がこんなところにくるとは」酒に酔ったとろんとした目で、新見は突然現れた沖田を招き入れる。何故か沖田は女たちを下げ、部屋には新見と二人きり。新見は沖田の纏う空気に気付かなかった。嬉しそうに沖田に向けて徳利を揺らす。「飲め飲め、芹沢さんのツケだか―」ザシュッそれが、最期だった。新見が死んだ。その知らせは『法度の発布により、自らを省みた新見が潔く切腹した』と、真実を曲げられて組に伝えられた。だが、芹沢にはわかっていた。それが嘘だということも、次は自分だということも…いつになく険しい顔つきで、芹沢は八木家の離れの縁側に胡座をかき、雲行きの怪しい空を眺める。ふと、愛しい女の笑い声が聞こえた。「ん?お梅?誰と話しておる」少し大きめに声をかけると、お梅は一人の女を連れて芹沢の前にやってきた。連れてこられたのは紫音。芹沢は紫音を見て、思わず鉄扇を落とした。「お梅さん、ちょっと芹沢さんとお話させてもらっていいですか?…クスクス、大丈夫です、取りませんよ」不満そうに頬を膨らますその人を、紫音はかわいいと思った。これがりん気か。人を愛するからこそ生まれる感情。「ほな、うちはお茶でも煎れてきましょ」紫音の言葉に恥ずかしそうに頬を染めたお梅は、いそいそと家の中に入って行った。紫音は芹沢の落とした鉄扇を拾い、さも軽そうに自らを扇いでみせると、パチンと閉じ、芹沢に差し出す。

「こうしてお話するのは初めてですね」「…何しに来たんじゃ」近藤の友人と聞いている。お梅がいなければ前の自分ならモノにしたいと思うていただろう、美しい女。芹沢が知るのはそれだけだった。鉄扇を受け取りもせずに、芹沢は紫音から顔を背けた。「…一つ、聞きたい事がありまして」仕方なく鉄扇を芹沢の横に置く。紫音の言葉に芹沢は少しだけ顔を上げた。「何故、評判を落とすとわかっていながら恐喝や押し借りを続けたんです?焼き打ちまでしなくても良かったではありませんか」「…あれは儂ではない」想像もしてなかった答えに紫音は目を丸くする。その言葉の真意を知りたくて、紫音は黙って続きを待った。「儂が商家や金貸しに無理を強いたのは、そこが長人たちと繋がりがあると踏んだからじゃ。大和屋は、情報の漏洩を恐れた奴らが火を放った。証拠隠滅の為にの」それが真実かどうかはわからないが、紫音には嘘を言っているようには聞こえなかった。しばし顎に手を当てて考えた後、紫音は芹沢の手を取った。芹沢は思いも寄らぬ紫音の行動に目を見開く。だが、手を振りほどこうとはしない