Entries from 2021-01-01 to 1 year

「それも仕方ありませんわ

「それも仕方ありませんわ。どれもこれも冬乃さんが謝ることありませんの、頭を上げてください」 千代の慌てた声に、冬乃は頭を上げながら、胸内をちくりと刺される想いに、小さく息を吐いて。 千代のほうは、冬乃を気遣うように小首を傾げた。 「それに冬乃…

「死に物狂いで向か

「死に物狂いで向かってくる奴らとは死闘だったし、逃げ出す奴らは殺すわけにはいかないけど、逃げられないようにしなきゃならないから、追いかけ回して傷負わせて、でもそうするとまた、殺されると思って歯向かってくる奴も出てくるでしょ。大変だったんだ…

冬乃にとっても

冬乃にとってもうひとり初見な男が出てきて。 斎藤が振り返った。 「はい、今朝方に」 「ああ、期指 それで昨夜は会わなかったんだな」 「永倉さん。ちょうどいいや、」 沖田の声に、永倉と呼ばれたその男がすぐに視線をずらし、沖田と隣の冬乃を見やった。 …

信継は目を見開く

信継は目を見開く。 これには、牙蔵もほんのわずか、反応した。 「…」 「…っ何を…!!」 詩は続ける。 「信継様、それより…お願いです…。 お梅さんを気に入っておられるなら、どうか…お梅さんを大事にしてあげてください」 「…はっ?」 真剣に頭を下げる詩を…